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2022年10月03日の記事は以下のとおりです。

あの本は読まれているか

ある意味では面白かったのですが、別のところでは肩透かしを喰らった感じの小説でした。

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スパイものというか諜報活動のサスペンス系ではありません。

言論統制の厳しかったソビエト時代の作家と愛人の苦労っていうか、愛人が国から受けた想像を絶する虐待を告発というような意図でもありません。

そのソビエト連邦から脱出した家族、とりわけ母と娘の波乱に満ちた生涯を描いた物語という訳でもありません。

冷戦時代にアメリカの政府機関で働く女性たちへのセクハラやキャリアが閉ざされていたことの苦悩を告発する訳でもありません。

 

まず言えるのは、そんな女性たちの視点で多角的に紡がれたお話。

ある意味では物語が散らかってますが、それぞれのエピソードは非常に印象的。

 

読んでて、あ〜そうだったんだと、驚いたり感心したり色々ありでしたよ。

 

冷戦時代のアメリカでは女性の社会的地位がほぼゼロ。

いくら一流の大学を出ていても、ありつける仕事は政府機関のタイピストとか会社の秘書が関の山。

あとから入ってきた男性職員が先に出世し、いつの間にか上司になっている。

しかも職場ではセクハラが当たりまえのように横行・・

 

まぁ、そんな時代だったということですが、もっと驚いたのは女性の同性愛に対して社会が厳しかったこと。

 

私の心を締め付けたのは、この物語を構成する同性愛のエピソード。

政府の機関で特殊な任務に関わっている二人の女性の心と身体の交わりです。

 

そしてその関係をいつまでも続ける訳に行かない事情によって、この二人は別々の道を歩むことになります。

お互い割り切ったと思い込もうとするのですが、それでももう一度会いたい、出来ることなら身体を重ねたいと切望します。

でも、そうはならないことは百も承知・・そんな二人の関係が読んでてホント切なかったですね。

 

それとは対照的なのは、どうせ出世しないのならということで、職場でもプライベートでも楽しくやって行こうとする女性たちの日常も印象的でした。

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