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落とし文

初夏の頃になると、円筒形に巻かれた葉っぱが道ばたに落ちているのを目にするようになります。

直径が5ミリで長さが1センチくらいですが、オトシブミという昆虫の仕業です。

 

この巻いた葉っぱを揺籃と言い、この中に卵が産みつけられていて、孵化した幼虫はその揺籃を内側から食べて育ちます。

揺籃は幼虫が立派に育つあいだの食物と安全な住処となるわけです。

 

オトシブミという名前は、揺籃の形が「落し文」に似ていることから来ています。 

いにしえの人は想いを寄せる人に宛てた文を折りたたみ、その人が通りそうな場所にそっと落しておいたそうで、その恋文が「落し文」。

20200521171315.jpg

恋の行方は、意中の人が「落し文」を拾って読んでくれるかどうかにかかってます。

そんな奥ゆかしい「落し文」の名前を持つ昆虫がオトシブミですが、揺籃は辺り構わずあちこちに散らばってます。

 

さしずめ、下手な鉄砲数撃ちゃ当たる方式でしょうか・・

道路の舗装された部分に落ちた揺籃は、人に踏まれるでしょうし、陽射しでカラカラに乾いたりするでしょうから、幼虫が無事に育つかどうかは運次第です。

 

舗装されていない草むらとか、砂利の部分に避けてあげればいいと思われるかもしれませんが、そこは人の手を加えないのが自然の摂理というものです。

何もしなくても、毎年多くの揺籃が散らばってますから、ある程度の数の幼虫が無事に育っているということです。

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